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成形作業における安全衛生

目次 はじめに 安全 成形機 成形条件 再生 成形加工 成形品設計 金型設計 不良対策

 

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2. 成形作業における安全衛生 

2.1 成形作業上の注意点

分解 材料の分解が起こらないように、次の樹脂温度とシリンダ内滞留時間にして下さい。
 ・適性樹脂温度: 190 ~ 210℃ (※250℃以上に加熱しないで下さい。)
 ・シリンダ内滞留時間
樹脂温度 許容滞留時間
200℃ 60分以内
210℃ 30分以内
230℃ 10分以内

成形を一時中止する場合は、シリンダ内の材料をパージし、シリンダの温度を下げて下さい。 もし、過熱したり、過熱の疑いがある場合は、シリンダの温度を下げ、新材料で過熱されたものをパージしてください。この時、パージされた溶解物は水中に投入して冷却させると、ガスの発散を抑えられます。また、パージの際には保護メガネ、保護手袋を着用し、ノズル先には決して手や顔を近づけないで下さい。塩化ビニル等の塩素系材料やハロゲン系難然材を含む材料などはジュラコン® POMの分解を促進させますので、シリンダ内で共存させないようにして下さい。
ガス 作業時には局所換気、又は全体換気をおすすめします。
取扱い 床などに散乱したペレットは、滑って転倒するなどの恐れがありますので、速やかに清掃し取り除くことをおすすめします。

 

2.2 衛生

ホルムアルデヒドガスは人体に対して、眼やのどを刺激して不快感を与えるため、長期間一定濃度以上のガスを吸入し続けることは健康上望ましくありません。したがって、作業時には局所換気または全体換気をおすすめします。ホルムアルデヒドの知覚限度は個人差があり、一律には決められませんが、0.05~0.06ppm程度です。ホルムアルデヒドの最大許容量は日本産業衛生学会勧告値では8時間労働で0.1ppmになっています。この値は米国では最大許容濃度が0.75ppmになっています。

 

2.3 始動、停止、材料替え

(1) 前の材料がジュラコンの場合

そのままヒータを入れ、ノズル及びシリンダ温度が所定の温度まで上がれば数回のパージを繰り返した後、成形をスタートすることができます。この場合、ノズル部が溶融して開いていることを確認しておく必要があります(ノズルの"鼻たれ"により確認することができます)。成形機をジュラコンのまま停止するときは材料供給を止め、ノズルから材料の出なくなるまでパージしてからヒータを切るようにします。

(2) 前の材料がジュラコン以外の樹脂の場合

(a) そのままジュラコンで置き換え可能な場合

ジュラコンと同様の成形温度で成形でき、かつ熱安定性のよい樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂等及び他のポリアセタールの場合はそのままジュラコンで置き換えることができます。

 

(b) 一旦ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等で置き換えた後、ジュラコンで置き換えが必要な場合

ジュラコンより成形温度の高い樹脂(例えばポリカーボネート、ナイロン、PBT、PET、PPSなど)、あるいは逆に成形温度が低くジュラコンの成形温度では分解する可能性のある材料(例えば塩化ビニルなど)の場合は、前の材料の成形温度にシリンダ温度を上げた後、ポリエチレン、ポリスチレンまたはポリプロピレンに置き換え、次いで温度をジュラコンの成形温度にしてジュラコンでの置き換えを行ないます。

 

(c) 前の材料が抜けにくい場合

前の材料が黒着色品などの濃色材料でなかなか色が抜けきらない場合には、ナチュラルのガラス繊維入りでパージを行うと比較的抜けやすくなります。また、市販のシリンダ洗浄剤も使用することができます。

(3) ジュラコンから他材料への置き換え

ジュラコンと同様の成形温度の材料への場合は直接その材料で、異なった成形温度の場合は、ジュラコンの成形温度で一旦ポリエチレン、ポリスチレンまたはポリプロピレンに置き換えてから、成形温度を変更し次の材料に置き換えて下さい。

 


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