HOME > 技術紹介 > 成形技術 > ジュラファイド(R) PPSの成形技術
2. 成形条件
2.1 予備乾燥
ジュラファイド®は吸湿性の少ない樹脂ですが、成形品の外観を良くするため、また、ドローリング防止のため、140℃×3時間、もしくは120℃×5時間の予備乾燥を推奨します。
グレードによっては乾燥時のブリッジ防止のため、105℃×5時間の予備乾燥を推奨します。
炭素繊維強化グレード(2130A1、7140A4等)は、炭素繊維による吸湿が大きいため、予備乾燥が特に重要です。
なお、ナチュラルカラーはより安定した色相を得るため、乾燥条件を同一にして下さい。 |
2.2 射出成形機
滞留変色を避けるため、1ショット重量と成形機容量がバランスしている射出成形機を選定する必要があります。
ノズルは通常のオープンノズルで良いのですが、ドローリング防止のためシャットオフバルブが好ましい場合があります。また、バレル、スクリュは耐摩耗、耐食性の材質を推奨します。通常の標準バレル、スクリュでは著しく腐食摩耗が発生する可能性がありますので、使用にあたっては成形機メーカーと十分にご相談下さい。 |
2.3 成形条件
ジュラファイドの成形条件範囲を図2-1に示します。バリを少なくするには、シリンダ温度を高めに設定し、射出圧力を小さくする方が好結果が得られます。
射出速度は外観が良好であれば、低速に抑える方がバリに対する影響は少なくなります。1140A1の代表的な成形条件を表2-1に示します。 |
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表2-1 1140A1の代表的射出成形条件 |
項目 |
条件 |
予備乾燥 |
140℃ × 3時間 |
シリンダ温度 |
No.1(ホッパ側) |
290 ~ 300℃ |
No.2 |
300℃ |
No.3 |
310℃ |
No.4(ノズル側) |
310℃ |
ノズル温度 |
310 ~ 320℃ |
金型温度 |
150℃ |
射出圧力 |
40 ~ 70MPa |
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2.4 成形条件設定時の注意点
(1) シリンダ温度
ホッパ下のシリンダ温度を低くしすぎると、シリンダ、スクリュの摩耗が大きくなる傾向にあります。
流動性に問題がなければ、少し低めの方が滞留変色が少なくてすみます。特に、黒色以外の成形品の成形は、300~320℃の設定を推奨します。 |
(2) 金型温度
金型温度により、特性が大きく影響されます。
成形品の外観、高温使用時の寸法安定性、耐熱性、耐クリープ性からみて、120℃以下の金型温度は避け、好ましくは130℃以上の金型温度が必要です。 |
(3) 射出圧力
通常30~100MPaの射出圧力が好ましく、バリを減少させるためには低圧成形を推奨します。 |
(4) 射出速度
良好な外観を得るには高速で射出を行います。しかし、成形品のそり、やけが発生しやすくなりますので、一般的には外観が良好になれば必要以上の高速射出は意味がありません。 |
(5) 背圧
計量の安定化のために、背圧は2~5MPaを推奨します。計量が不安定な時は若干高めの背圧8~10MPaをかけます。 |
(6) スクリュ回転数
通常40~100rpmが適当です。200rpm以上の回転数では、ガラス繊維の切断や樹脂の発熱をまねくため好ましくありません。 |
(7) シリンダ内滞留
ジュラファイドはシリンダ内に長時間滞留させても、大きな粘度増加は見られません。このことから、ホットランナの利用は有効と考えられます。 |
2.5 成形後のパージング
パージングは通常ジュラファイドの成形時のシリンダ温度を維持し、初めにガラス繊維入りポリカーボネートでパージした後、ポリエチレンでパージし、かつ、ガラス繊維入りポリカーボネートとポリエチレンでのパージングを交互に繰り返すことをお奨めします。また、シリンダ内のパージ材を完全に出してから、次のパージ材をいれるようにするとより効率的です。ガラス繊維入りポリカーボネートの代わりに市販されているアクリル系パージ材も使用可能です。
以下に成形機の停止、開始および材料の切替について詳細を示します。 |
(1) 成形停止時
パージングはジュラファイドの成形時のシリンダ温度を維持し、ジュラファイドをパージングした後に、ジュラファイドと同様の成形温度でかつ熱安定性の良好な樹脂(一例として高密度ポリエチレン、市販されているアクリル系のパージ材など)でパージングすることをお奨めします。また、引き続きジュラファイドを成形する場合にはジュラファイドのみのパージングも可能です。 |
(2) 成形開始時
シリンダ内の樹脂がジュラファイドの成形温度領域で安定な樹脂であるならば、そのままジュラファイドの成形温度まで昇温して、ジュラファイドでパージングを行なってかまいません。
ジュラファイドと成形温度領域の異なる樹脂の場合には、シリンダに残留している樹脂の成形温度にシリンダ温度を変えた後に、ジュラファイドと残留している樹脂両方の成形温度で使用可能な樹脂でかつ熱安定性の良好な樹脂(一例として高密度ポリエチレン、場合によりポリカーボネートなど)でパージングし、その後にジュラファイドの成形温度に設定し、パージングすることをお奨めします。
シリンダ内の樹脂がジュラファイドの場合には、一般にはそのままジュラファイドの成形温度まで昇温して、パージングを行なってかまいません。 |
(3) 樹脂切り替え時
成形の停止と開始の方法を参考にして、ジュラファイドとそのまま置き替えのできる樹脂の場合にはシリンダ温度を維持しながら、そのままパージングを行なってください。
ジュラファイドをそのまま置き替えのできない樹脂の場合には、ジュラファイドと切り替えたい樹脂両方の成形温度でかつ熱安定性の良好な樹脂(一例として高密度ポリエチレンなど)でパージングし、その後に成形温度に設定することをお奨めします。 |
(4) その他
ジュラファイドのナチュラルカラーは、シリンダ内に長期滞留すると変色する場合もありますので、その際には十分なパージングが必要になります。 |
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