日本でガスが本格的につかわれてから150年近く。ガスミュージアム(がす資料館)は暮らしとガスのかかわりを紹介する歴史博物館です。「ガス灯館」、「くらし館」の建物2棟と、「ガスライトガーデン」で構成されています。
http://www.gasmuseum.jp/
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ガス灯のはじまり
ガス灯が最初につかわれたのは19世紀前半のイギリス(ロンドン)といわれています。 ガスミュージアムには、明治時代のガス灯を模したものをはじめとする国内外のガス灯が17基設置され、展示品だけではなく、明治期のレンガ館建物2棟と、庭園のロケーション全体が、歴史を示しているユニークな博物館です。
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横浜のガス灯
明治の錦絵の多くに、ガス灯をモチーフにしたものが描かれていることからもわかるように、当初ガスは熱源としてよりも“あかり”でした。庭園には、1872年に横浜で使用された燈柱が移築され、裸火のガスの炎をともすことができます。江戸期のろうそくや菜種油の灯り比べ、驚くような明るさで、文明開化の象徴でした。
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マントルを使ったガス灯
ガスを燃やした赤い炎を明かりとする従来のガス灯に対して登場したのが「マントル」という発光体を使うガス灯でした。マントルをガスで熱することで白色もしくはクリーム色に光ります。明るさはそれまでの5倍にもなり、ガス灯というと青白い光というイメージが定着しました。
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ガスは灯から熱源へ
明治30年代頃から、ガスは灯から熱源への転換をしはじめます。1902年政治家で教育者の大隈重信邸を建て直す際、台所をガス化しました。コンロ、グリル、オーブンで構成された、現在の業務用コンロに似通ったかたちでした。当時のベストセラー「食道楽」(著:村井玄斎)でこの台所が紹介され、ガス化に対する関心、知識が広まりました。
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ガス竈と火鉢
かまどでご飯を炊きたいというニーズを、1902年につくられたガス器具「ガス竈(かまど)」が実現。日本における最初のガス器具特許製品です。また外国製のストーブは、畳の上で生活する一般家庭では使いにくく、和室での利用を考慮されたのが「ガス火鉢」です。従来の火鉢とかわらないように灰も入れてありました。 (左 ガス竈 右 火鉢)
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熱源ガス器具 5点
熱源への転換が決定的になったのは「関東大震災」(1923年)からでした。以降、ガスは徐々に一般家庭のなかで使われ、コーヒー沸かし器、アイロン、食パン焼器、足温器など、昭和期の文化的生活に寄与しました。 (左から パーコ珈琲沸 アイロン 食パン焼器 足温器 卵ゆで器)
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はやわき釜
暮らしの中で、最もエネルギーを使うのが湯沸し、中でもお風呂です。1931年に発売された風呂釜(はやわき釜)は、木桶の湯船と組み合わせた、非常に効率の良い風呂釜でした。1960年代の半ばごろまで、長らく風呂釜の主流として使われました。
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陶製七輪
第二次大戦中、戦時体制のため金属の利用が制限され、このため代用品として陶器製のガス器具が作られました。しかし、吹きこぼれたお湯がかかると割れてしまうことがあったそうです。
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バランス釜
「バランス釜」は風呂場の中の空気をつかわず、外の空気を使ってガスを燃やし、排気ガスを外へ出す、安全に配慮された風呂釜です。風呂釜でシャワー機能を搭載した製品も登場しました。また公団住宅で全国採用されたこともあって、内風呂やシャワーの普及を後押ししました。(「建築設備遺産」認定:建築設備技術者協会)
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ガス小型給湯器
不完全燃焼装置が搭載された最初の小型湯沸器の1台です。押しボタン式の点火装置やレバー式のワンタッチ給湯、シャワーノズルの標準搭載など、さまざまな機能が採用されています。
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家庭用ガス燃料電池(ライフエル)
都市ガスから取り出した水素を使って電気を作り、発電で生まれた熱で「お湯」も一緒につくり出すエコ・システム。電気とお湯が家の中で使用され、光熱費が抑えられる、無駄を省いた快適な暮らしを実現します。