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耐ディーゼル燃料性改良ポリアセタール(POM) ジュラコン(R) H140DRの紹介


耐ディーゼル燃料性改良ポリアセタール(POM)
ジュラコン® POM H140DRの紹介



1. はじめに

   ポリアセタール樹脂(当社商品名「ジュラコン®」)は優れた機械特性、耐熱性、耐燃料性、および良好な成形加工性により、自動車の多くの部品に採用され軽量化や高性能化に貢献してきました。フューエル関連部品もその一つで、燃料タンク周りでポリアセタール樹脂が数多く使用されており、当社でも特に着目して開発を行ってきました。その詳細は、先に「自動車の燃料系部品におけるジュラコン® POMの市場展開と新規グレードの提案」にて報告しています。

車両の駆動システムは今後電動化にシフトしていくと思われますが、ディーゼルエンジンは商用車用途で確実に一定の比率で残って行くと言われています。この為、材料に関してもディーゼル燃料に対して、耐久性の向上が引き続き求められています。POMにとっては悪影響を及ぼす酸や硫黄が高濃度で含まれるような低品質のディーゼル燃料も、グローバルな市場では確実に存在します。当社では、このような燃料やタンク外部からの過酷な環境(酸性雨や酸性の洗浄剤など)への耐久性を向上させ、さらに成形性を向上させたグローバル展開可能なH140DRを開発いたしました。



2. 開発のコンセプト

ディーゼル燃料関連部品へPOMを適用するためには、POMとしての良好な特性を維持しつつ、幅広い種類の燃料に対しても耐性が高いPOM材料が必要とされます。そこで、ジュラコンが持つ燃料系部品に必要となる基本的な特性(機械物性・耐久性・溶着性など)を維持し、耐燃料性・耐酸性を改良しました。

  ・卓越した耐ディーゼル燃料性

  ・良好な成形性(高流動)

  ・デザイン柔軟性(高結晶化度:高強度/高剛性)

図1は、今回開発したグレード H140DRと当社の標準グレードM90-44の結晶構造を観察したものです。H140DRは、結晶サイズが小さく密であることから、高結晶化度であることが分かります。


ジュラコン® POM H140DR ジュラコン® POM M90-44
図1:結晶構造の比較


3. ジュラコン® POM H140DRの一般物性

表1は、H140DRと他社の耐ディーゼル燃料性を改良したグレード、および当社の標準的なグレードM90-44の一般物性を比較したものです。


表1:物性比較

項目

評価方法

H140DR

他社相当

POM材料

M90-44

耐ディーゼル

燃料性改良

POM材料

耐ディーゼル

燃料性改良

POM材料

標準

POM材料

MFR (g/10min) ISO 1133 14 13

9

引張強さ (MPa) ISO 527-1,2 65 62 62
引張破断呼び歪み (%) 32 30 35
引張弾性率 (MPa) 2,800 2,850 2,700
シャルピー衝撃強さ (kJ/m2) ISO 179 1eA 7 7.5 6


H140DRは、当社標準グレードM90-44と比べMFR値を高く設定しています。これは、成形性の良さを考慮したためで、先に上市したH140-54Cと同等です。また、他社相当材料と比較すると機械物性など同等以上の特性を持っています。



4. 耐ディーゼル燃料性

高濃度の硫黄成分などを含有する燃料は、POM樹脂の主鎖骨格に作用してPOMの分解反応を促進させます。図2は、高濃度の硫黄成分を含有したディーゼル試験燃料(Haltermann CEC-RF-90-A-92: 硫黄分約3000ppm、日本での一般的なJIS2号は10ppm以下)中にPOM材料を高温下で浸漬させた際の重量変化率(分解速度)を示しています。H140DRは、他社の耐ディーゼル燃料性を改良したPOM材料や標準的なPOM材料と比較して卓越した耐性を示していることが分かります。


図2:燃料浸漬テスト

(100℃, Haltermann CEC-RF-90-A-92, 1mmt test bar)


参考データとして標準的なディーゼル燃料(JIS2号軽油)での耐久試験の結果を図3に、また今後広がりが期待されるバイオディーゼル燃料(B30)での結果を図4に示しました。どちらもPOMにとって厳しい条件ではありませんが、H140DRは標準的POMと同様に良好な耐久性を示しました。


図3:燃料浸漬テスト

(110℃, 標準的なディーゼル燃料JIS2号軽油, ISO-Type 1A 4mmt test bar)


図4:燃料浸漬テスト

(80℃, バイオディーゼル燃料B30, ISO-Type 1A 4mmt test bar)



5. その他の耐久性

図5にH140DRのクリープ破壊特性を示しました。他社相当材料と同等のクリープ破壊特性であり、機械的な長期耐久性の観点からも十分な特性を有していると考えられます。


図5:クリープ破壊特性

(80℃, 空気中, ISO-Type 1A 4mmt test bar)


図6は、自動車に使われる強酸性溶剤による環境応力破壊試験の結果です。
H140DRは、他社相当材料や標準POMに比べたいへん良好な結果が得られました。このことは、自動車に使用される様々な酸性溶剤や酸性雨などの外的要因に対し、高い耐久性を持っていることを示しています。


図5:強酸性環境応力破壊試験

(1サイクル:酸性溶剤をスプレイ後、常温から60℃で24時間放置、ひずみ1.5%)



6. おわりに

耐ディーゼル燃料性を改良した新グレード ジュラコン H140DRの特性について説明いたしました。このグレードは、従来のPOMが持つ良い部分を保持し、耐燃料性・耐酸性が改良されていることが分かります。燃料の種類、メーカーや地域での品質のばらつき、厳しい環境下での燃料の劣化など様々な条件に対応が可能と思われます。今後、燃料系部品へ広く推奨していきたいと考えています。




【関連資料】

自動車の燃料系部品におけるジュラコン® POMの市場展開と新規グレードの提案



 物性表はこちら:

 ◆H140DR  ◆M90-44

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2020/5/12