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そり対策のメカニズムと難燃耐加水分解材料の解説


ジュラネックス® PBT新グレード750AMのご紹介
-そり対策のメカニズムと最新の難燃耐加水分解材料ー


1.PBTのそり変形原因

熱可塑性樹脂は大きく結晶性樹脂と非晶性樹脂に分けられます。結晶性樹脂は、機械特性や耐熱性、耐薬品性などに優れるものの成形時のそり変形が大きくなる傾向があります。非晶性樹脂は透明性が高くそり変形は良好なものの、耐薬品性などが劣る傾向があります。

結晶性樹脂やそり変形が発生しやすい原因は結晶化による寸法変化(収縮率)が大きいことと関係があります。収縮率が大きくても一様に収縮するのであれば、そり変形は発生しないと考えられますが、実際には成形品内で不均一な収縮率を発生しやすく、これがそり変形の原因になります。

結晶性樹脂は固化する際に徐冷されると結晶化が進行して収縮率が大きくなり、急冷されると結晶化が進行せず収縮率が小さくなります。成形品の肉厚が厚いと徐冷されるため収縮率は大きくなりますが、薄いと急冷されるため小さくなります(図1、図3-①)。金型温度が高い場合も同様に徐冷されるため、収縮率は大きくなります(図3-②)。また、ゲートサイズや流動距離などによる圧力損失の違いの影響で、成形時の圧力のかかりかたが変化し収縮率が不均一になることがあります(図3-③)。さらに、ガラス繊維強化材は繊維の配向による影響が大きく、繊維の配向方向は収縮率が小さく、繊維に直角方向は収縮率が大きくなります(図2、図3-④-1)。繊維の配向は、キャビティ内の樹脂の流動により変化します(図3-④-2)。これらの収縮率差が、そり変形の原因になります。PBTは結晶性樹脂のため、そり変形が大きい樹脂になります。

射出成形品のそり変形要因は以下の4点にまとめられます。

① 製品肉厚の不均一による収縮率差(結晶化)

② 金型温度の不均一による収縮率差(結晶化)

③ キャビティ内圧力の違いによる収縮率差(圧力)

④ 繊維配向の影響による収縮率の異方性による収縮率差(補強効果)



図1:非強化PBTの収縮率厚み依存性 図2:ガラス繊維含有量と成形収縮率


図3:そり変形の原因



2.ジュラネックス® PBTの低そり化手法

低そり材料の手法としては、主に下記の3点があります。

① 低異方性フィラーにより収縮率の異方性を低減

繊維状のフィラーではなく、アスペクト比の小さい球状や板状のフィラーにより収縮率

の異方性を低減することが可能です。しかし、そり変形が小さくなる反面、機械的強度

は低下します。

② 非晶性材料とのアロイ化により収縮率の絶対値を低減

PC、ASなど非晶性樹脂とのアロイ化により、収縮率の絶対値を下げることが可能で

す。この手法は機械的強度の低下が少ない反面、アロイ化する樹脂によっては熱的特

性などに影響がでます。

③ 流動性を向上し、不均一な圧力分布を低減

キャビティ内の圧力分布(収縮率分布)を低減させることで一定の効果は期待できます

が、上記①、②に比べ低そりの効果としては大きくはありません。



3.ジュラネックス® PBTの主要低そりグレード

ジュラネックスは、これらの手法を組み合わせて、各種特長をもった低そりグレードをラインナップしています(図4参照)。各グレードの物性やそり変形の評価は、表1・図5を参照ください。


図4:ジュラネックス® PBTの主要低そりグレード



図5:ジュラネックス® PBT 低そりグレードの平板平面度(120×120×2mmt)



表1:ジュラネックス® PBT 低そりグレードの特性 (全体図はこちら)

       (参考として徐燃・難燃のGF30%強化グレード3300とGFR330を併記)

項目

ISO

試験方法

単位

3300

6300B

733LD

7307

7407

GFR330

6370B

751SA

750AM

引張強さ

527-1,2

MPa

140

55

139

106

117

129

47

99

135

引張破壊ひずみ

527-1,2

%

2.2

5.0

2.0

2.8

2.5

1.9

1.8

1.8

1.6

曲げ強さ

178

MPa

220

91

180

168

180

202

84

149

179

曲げ弾性率

178

MPa

9,030

3,900

9,000

6,500

9,500

10,670

4,360

8,680

9,900

シャルピー衝撃強さ

(ノッチ付き)

179/1eA

kJ/m2

10.5

2.0

7.6

8.0

8.8

7.1

1.9

4.6

6.5

燃焼性

UL94

-

HB

HB

HB

HB

HB

V-0

V-0

V-0

V-0

※スクロールしてご覧ください。



4.新規、難燃・低そりグレード ジュラネックス® PBT 750AM

PBTは機械特性、電気特性など、物性バランスに優れており、特にガラス繊維などで強化された場合、強度や剛性、耐熱性が飛躍的に向上します。また、難燃剤の添加により難燃化することも可能なため、電気・電子分野をはじめ様々な工業製品に幅広く使用されています。最近では、自動車分野においても通信機器やEV,HEVの高圧部品で難燃材料が要求され、自動車分野で必要な高い耐久性と優れた成形性が必要となります。

ジュラネックス 750AMは、GF30%強化グレードであり、難燃性および低そり性に加えて、耐湿熱性(耐加水分解性)を付与した新規グレードです。ジュラネックス 750AMの低そり性と耐湿熱性を図6および7にそれぞれ示します。自動車分野で求められる十分な耐久性を有するとともに、通信機器やEV、HEV部品等に好適な材料であると考えられます。



図6:ジュラネックス® PBT 750AMのそり変形

(箱型成形品の内そり変形を評価)



図7:ジュラネックス® PBT 750AMの耐湿熱性

(プレッシャークッカー試験による引張強さの保持率を評価)



5.おわりに

PBTは、機械特性、電気特性など特性バランスに優れた樹脂ですが、結晶性材料のため、成形時のそり変形が問題となることがあります。本稿ではそり変形の原因と対策についてまとめましたので、製品開発、部品設計のご参考になれば幸いです。

また、ジュラネックス 750AMは従来のPBTの優れた電気特性に加え、低そり、高剛性、難燃性、耐加水分解性を同時に付与した新規グレードです。電気・電子部品にとどまらず、自動車分野など幅広い分野の部品に適用が可能と考えております。



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耐アルカリストレスクラッキング特性を実現 ジュラネックス® PBT 532AR




 物性表はこちら:

 ◆750AM  ◆531HS  ◆552HS

 ◆LT530HR  ◆LT530FR  ◆733LD

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2019/09/26