ジュラコン^® POMは、そのバランスのとれた特性から大変多くの分野・用途で使用されているエンジニアリングプラスチックです。低VOCグレードも同様にそれらに応じた材料を揃えており、表1にその代表的なグレードを示しました。

標準グレード(M90LV、M270LV、M25LV)以外にも、耐候性向上グレード(M90-45LV)、摺動性改良グレード、ガラス強化グレード(GH-25LV)などの各種特殊グレードについても幅広く低VOCグレードを用意し、様々な部品・用途へのVOC低減対策を可能としています。

ジュラコンは摺動分野で広くご利用いただいており、摺動用途の中でも特に摺動性/耐摩耗性/摺動音の改善が要求される製品に対しては、使用条件に応じた摺動グレードの選択が可能です。低VOCグレードも同様に各種条件に応じた材料を揃えており、ここでは代表的なグレードとしてNW-02LVを紹介いたします。

　摺動グレードNW-02LVの特徴

・低負荷から高負荷の広範囲にわたり、安定した摩擦摩耗特性を示す。

・低温から高温までの広い温度領域で、安定した摩擦摩耗特性を示す。

・相手材の種類によらず、良好な摩擦摩耗特性を示す。

・歯車などでの摺動騒音が低い。

・高流動特性を持ち、生産性や寸法精度上の優位性が期待できる。

・ジュラコン一般グレードと同様に良好な成形性を持つ。

POMは、他の熱可塑性プラスチックと同様に、屋外使用などの紫外線が当たるような用途では、変色や物性低下を起こします。このような場合には、耐候性を向上したジュラコン 90-45LVを使用することで、紫外線による劣化とそれに伴う物性低下を遅延させることができます。

ジュラコンは主に機構部品に使用されていますが、その一部が外観に出るような使われ方もあり、耐候(光)性向上グレードが数多く使用されています。さらに、自動車関連分野を中心として、この耐候(光)性向上グレードと同等の性能を持ちながら、成形品の表面に艶消し性を持たせ、より高級感のある外観への要求もあります。

このような場合には、優れた耐光性を持ちながら、成形品の表面の艶を抑え、落ち着いた外観を得ることができるジュラコン LU-02LVをお勧めしています。

4. メタリック調外観、低VOCグレード MCシリーズ

自動車の内外装には、デザインや質感の要求で、メタリック（金属）調の樹脂製品が使用される場合があります。従来、これらは樹脂成形品に塗装やメッキを施したものが多かったのですが、VOC発生低減、製造時の環境負荷低減、コスト低減等の観点から、あらかじめ樹脂そのものをメタリック調に着色して使用する事例が増えてきています。

POMは耐薬品性が優れている反面、メッキや塗装を施しにくいのですが、MCシリーズではメッキや塗装を行なわなくてもメタリック調の外観を成形加工のみで容易に発現可能です。このシリーズは低VOC耐候性グレードをベースとしてアルミニウム顔料を用いて着色されたグレードであり、低VOC性と耐候性が要求される自動車室内の外観部品にメタリック調を施したい場合に好適な材料です。

自動車の構造部品を固定する目的にいろいろなタイプの樹脂クリップ部品が使用されています。樹脂クリップ部品には、POM樹脂ジュラコンの標準グレードが広く使用されています。

使用環境や製品仕様によって、標準グレードよりも衝撃性や柔軟性を付与させた材料を要求されることがあり、このような場合には標準材料よりも曲げ弾性率や引張破断伸びを最適化したジュラコンTF-10LVをお勧めしています。

GH-25は、ガラス繊維を充填、強化することにより、非強化材料と比較して、高温・高負荷環境で使用できる材料です。機械的特性の特長としては、高い強度・剛性が保持しているだけでなく、長期特性（耐クリープ性、耐疲労性）や荷重たわみ温度が向上しています。

TR-20は、無機フィラーを充填、強化することにより、曲げ強さ、曲げ弾性率が向上しています。
また、荷重たわみ温度が向上しているため、標準材料より高温環境下でも機械的特性に優れております。
無機フィラーはガラス繊維のような方向性がないため、異方性が少なく、低変形、低反り効果が得られます。

表1　ジュラコン^® POM低VOCグレードラインナップの一例

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2017/11/14