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ジュラコン(R) POM低VOCグレード(LVシリーズ)開発と自動車部品の応用事例


ジュラコン® POM低VOCグレード(LVシリーズ)開発と
自動車部品の応用事例

はじめに

自動車室内には様々な材料が使用されていますが、それらの材料からVOC(揮発性化学物質Volatile Organic Compoundsの略称)が発生する可能性があります。VOCには搭乗者の健康に悪影響を与える可能性がある物質が含まれるため、近年住宅などと同様に自動車室内のVOC濃度の規制がなされています。1)また、自動車室内の快適性向上のために、健康面への影響の有無にかかわらず、臭気を有する化学物質の発生を低減させる動きもあります。

自動車室内には、金属、プラスチック、繊維、皮革、接着剤、塗料、潤滑剤等の様々な物質が使用されています。その中でプラスチックは、軽量化による燃費改善、加工性・生産性向上などの目的の為に、構造部材や意匠部材等への使用が増える傾向にあり、VOCの発生低減、低臭気化がより一層求められる傾向にあります。

自動車室内のVOC・臭いの低減方法としては、大きく二つの方法に分けることができます。一つは、材料から発生するVOCや臭いの基となる物質を低減させる方法、もう一つは発生した物質を除去する方法で、例えばVOCや臭いを吸着、分解、排気させることがこれにあたります。本稿では、自動車室内で使用されるプラスチックの一つであるPOMについて、VOC発生を低減させるための取り組みについてご紹介します。また、本稿末のURLは、ジュラコン® POMの各種低VOCグレード紹介へリンクしておりますので、併せてご覧ください。



1. POMとホルムアルデヒドについて

POMは、化学名であるポリオキシメチレン(polyoxymethylene)の省略した呼称ですが一般的にはポリアセタール、アセタール樹脂(acetal resin)と呼んでおり、主として
(-CH2O-)の構造単位からなる結晶性の熱可塑性樹脂です。

POMは、エンジニアリングプラスチックの一つであり、機械的、化学的な特性にバランスよく優れ、コストパフォーマンスもよいことから、自動車や電気電子機器等の各種部品の材料として幅広く使われています。参考として、図1に弊社製ジュラコンの自動車室内の部品への使用事例を紹介します。自動車室内の部品以外にも、カーステレオやカーナビゲーション等、車載機器の内部にあるギヤなどの摺動部品にも使用されています。

このように広く使用されているPOMですが、VOCの一つであるホルムアルデヒドが発生する可能性があります。ホルムアルデヒドは、自動車室内VOC濃度の規制対象物質であること、臭気を有する物質であることから、発生の低減が求められています。


図1 POMの車室内部品への使用事例


2. POM成形品からのホルムアルデヒド発生メカニズムについて

2.1 POMの種類と分解様式

図2にPOMの安定化手法の模式図を示します。POMはホルムアルデヒドの重合体ですが、単純なホルムアルデヒドのみの重合体の場合は、成形加工の時に加熱溶融すると…


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<参考文献>
1) 日本自動車工業会 http://www.jama.or.jp/eco/voc/index.html


2017/11/14