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CAEを用いたリフロー工程時の変形予測


熱変形を抑えた設計をするために:
CAEを用いたリフロー工程時の変形予測

1. はじめに

近年コネクタ市場では、スマートフォンを代表とするモバイル製品が新興国まで普及し、さらにそのデバイスの小型化・高機能化が進むにつれ、コネクタの使用件数が増加し、コネクタ部品の更なる小型化が求められています。一方、自動車部品用途としては、自動車の電動化に伴い、コネクタの使用数はこちらも増加傾向にあります。また、自動車部品として使用されるコネクタには、厳しい環境条件下に耐えうる信頼性や安全性も求められます。このような高い精度がコネクタに求められているため、液晶ポリマー(Liquid Crystalline Polymer:LCP)の採用事例が増加してきています。LCPとは、溶融時に液晶性を示す熱可塑性の芳香族ポリエステルの総称です。剛直で折れ曲がりにくい分子構造を持ち、高分子物質に特有な分子の絡み合いが非常に少ないのが特徴です。そのため、寸法精度と耐熱性に優れ、コネクタ部品製造時のはんだ接合工程において、高いリフロー温度への対応が可能です。

ただしLCPを用いても、リフロー工程の高温環境下において樹脂部は少なからず熱膨張するため、製品の平面性に影響が出ることがあります。リフロー工程中の熱変形は金属端子へのはんだ未着による接合不良の原因となるため、コネクタの設計時にどのようにして熱変形を低減させるかが重要です。近年のコネクタの小型化、軽薄化に伴い、熱変形よる成形品の精度への影響はますます大きくなる傾向にあります。

そのため当社ではCAE(computer aided engineering)を用い、設計段階におけるリフロー工程時の成形品の変形予測について検討を開始しました。

本稿ではその概要について説明いたします。


図1:端子平坦度のばらつきによる金属端子のはんだ未着



2. 加熱時、冷却時の変形挙動観察

2.1. 観察方法

リフロー工程中の熱変形特性を把握するため、図2に示す形状のサンプルを用い測定しました。使用した装置(図3)は、高温環境下における“その場観察”可能な装置(山陽精工(株)製SP5000-DS)です。熱履歴の影響を検討するため、加熱処理したサンプルを再度熱処理した場合も計測しました。


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2018/07/18