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高透過率・低そり性に優れた新レーザー溶着グレード 330LWのご紹介


高透過率・低そり性に優れた新レーザー溶着グレード
DURANEX® PBT 330LWのご紹介



1. はじめに

当社は、DURANEX® PBTの新グレードとして、レーザー溶着性に優れた330LWを市場投入いたします。330LWは、レーザー透過性や低そり性が非常に高く、レーザー溶着性に優れたグレードです(表1)。自動車のセンサー、ECU、アクチュエーターなど、様々なアイテムのレーザー溶着用途に適しています(図1)。色は、ナチュラル(EF2001)とブラック(LB3002)の2種類を用意しています。


表1:各PBT(GF30%強化)の特性比較

  330LW
レーザー溶着グレード
他社PBT
レーザー溶着グレード
3300
標準グレード
レーザー透過率 +++ ++ +
低そり性 +++ + +

+++:より良好、++:良好、+:通常




図1:想定される用途



2. 高い光透過性について

図2は、分光光度計*1にて、330LW EF2001/LB3002と他PBTグレードの光透過スペクトルを比較したものです。レーザー溶着で使用する800-1,100nmの波長域(近赤外領域)において、330LWは、他のPBTグレードに比べて、高い透過率を示すことが分かります。

また図3は、LPKF社のTMG3*2にて、特定波長におけるレーザー透過率の厚み依存性を比較したものです。試験片の厚みが増す程、レーザーの透過率は低下します。330LWは厚み1.5 mmであっても、厚み1.0mmの他社レーザー溶着用PBTに比べて、透過率が高いことが分かります。

 

*1 波長 400~1,200nm, 1mmt平板
*2 波長 980nm、1.0/1.5 mmt 平板

図2:各PBT平板(厚み1mm)の光透過率スペクトルの比較


図3:PBT平板の980nmレーザー透過率(TMG3)の比較



3. レーザー溶着のし易さについて

図4は、各PBTの試験片(厚み1.5mm)を用いて、適性レーザー出力条件をスクリーニングし、レーザー溶着強さを比較評価したものです。330LW LB3002は、レーザー透過性に優れるため、他PBTグレードに比べて、小さいレーザー出力(省エネルギー)で十分な溶着強さを得られることが分かります。このことから、330LWは、スキャン速度を速めることが容易なため、レーザー溶着工程の時間短縮効果が期待できます。


図4:各PBTのレーザー溶着強さ・適性レーザー出力の比較



4. レーザー溶着部の可視性について

図5は、ブラックのPBT平板の上に、330LW EF2001 1mmtの平板を重ね、上方向から各出力でレーザー溶着を行った後、外観を観察しています。330LW EF2001は、他PBTグレードに比べて、可視領域でも高い透過率を示すため(図2)、溶着部の状態を直接視認できます。溶着部において、適切に溶着された箇所は黒い一方、ボイドや未溶着の箇所は白く、色が異なることから、レーザー溶着部の品質を確認する際の参考となり得ます。


図5:ジュラネックス® PBT 330LW EF2001の溶着部の可視性



5. 高い低そり性について

図6は、330LWと既存PBTグレードの平面度を比較したものです。既存PBTグレードに比べて、330LWは低そり性に優れ、平面度が小さいことが分かります。成形品が反ると、溶着部にクリアランスが発生し、溶着し難くなりますが、低そり性に優れる330LWで成形品を作製すれば、溶着部でのクリアランスの発生が抑えられ、レーザー溶着性が向上します。


図6:ジュラネックス® PBT 330LW 平面度の比較



5. 終わりに

330LWは、レーザー溶着の市場ニーズに応えるべく、レーザー透過性や低そり性といった重要特性を飛躍的に向上させた新しいグレードです。ポリプラスチックスでは、引き続き市場ニーズや用途に応じたグレードをお客様に提供できるように開発を進めて参ります。




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2022/04/27